探蝶逍遥記

チョウ類の保全を考える集い(2月20日)

 管理人が所属する日本チョウ類保全協会主催の首題会合が昨年と同じく、神奈川県立生命の星・地球博物館で開催されました。当初、土曜日出席を予定したのですが、所用で日曜のみのエントリーとなりました。この日のテーマは、二つありました。

①チョウ類のモニタリングを進める
②グループ討論:今後のプロジェクトの進め方について

 最初のテーマである、モニタリングについては、既に個別の蝶に対しては、協会員の少数の専門家が実施しているのですけど、より広範囲に調査地域や時間帯を拡大して実施するための問題点、方法論が詳しく議論されました。先ずintroductory talkとして、協会理事の松村氏より、チョウ類保全の先進国である、英国自然保護団体の実態等を紹介されながら、どのような調査課題があるかを整理されました。以下、会合画像は全てカシオEX FC150で撮影。
++横位置画像はクリックで拡大されます++
f0090680_23404820.jpg


 続いて、(財)日本自然保護協会(NACS-J)の福田氏より、「モニタリング1000里地調査」の詳細報告がありました。
f0090680_23405860.jpg

f0090680_23412698.jpg


 もともと環境省が2003年に景観別にスタートさせた「モニタリングサイト1000」の「里地里山分野」をNACS-Jが運営担当し、2005年より継続調査しているもの。流石に5年の歴史があって、蝶類調査に必要な詳細なマニュアル(既にver3.0となっている!)も整備されていて、システムとして完成された感がありました。

 お次は東大農学部の前角氏より、民間会社と市民、そして大学がコラボしたモニタリングの成果が示されました。調査結果の精度を上げるために市民から提供されるデジカメ画像は有用であること、データ記録フォーマット(雛形)の完成度を上げること、データベース構築の効率化等が課題として指摘されていました。ただ、エクセルベースで作成された記録用紙は(もちろん、マクロ機能を上手く使って)各記入メニューもプルダウン形式になっており、我々保全協会員にでもすぐに使えそうな雛形だと思いました。
f0090680_23414327.jpg


 いずれにせよ、チョウ類保全協会が独自に調査方法を考えるのではなく、先達である、各保護団体と上手く連携して、良いとこ取りで調査活動を進めるべき点が明確になったと思います。

 2番目のテーマは、分科会に分かれての討議でした。
f0090680_2351484.jpg

 管理人はフィールド図鑑プロジェクトのサブグループに入り、現時点での画像の収集状況、不足分の収集方法、南方系蝶の収集の割り切り方?等、出版のタイムリミットが迫った中での現実的な着地点を踏まえて、どう進めていくか?熱のこもった議論がなされました。ともかく、全279種中、♂♀表裏全てが揃った種類は未だ137種(49%)であり、お尻に火がついている状況には違いありません。協会所属員、およびその他の皆さんのご協力が必要なことは言うまでもありませんね。図鑑プロジェクトグループには、多くのブログ仲間も所属しており、楽しい一時を過ごすことができました。どの種類の画像を収集していくか?もう初成虫も飛び始める時期も迫っているので、皆さんのお顔は、春以降を思い浮かべて、ニコニコしておりました。

 さて、蝶画像がないのも寂しいので、いまや北海道のヒメチャマダラセセリと並び、国内で最も絶滅の危機に瀕しているタテハ、ヒョウモンモドキの画像をご紹介しておきましょう。個体数が激減している本種、このままの現状では、本当に国内から姿を消してしまうかもしれません。何とかせねばなりませんね。
f0090680_23415751.jpg
D70S-10.5、ISO=400、F4-1/1000、撮影地:広島県、撮影年月日・時刻:2006年6月17日、13時41分
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ チョウ類の保全活動に興味のある方は、お気軽に下記にお問い合わせください。
<特定非営利活動法人 日本チョウ類保全協会 事務局>
 Email:jbcs@japan-inter.net
by fanseab | 2011-02-22 23:46 | | Comments(10)
Commented by ダンダラ at 2011-02-23 09:12 x
シンポジウム、お疲れ様でした。
前日の土曜日しか参加しなかったのでお会いできず残念でした。
翌日の様子が良くわかって助かります。
図鑑のほうもいよいよ大詰めですね。
微力ながら協力していきたいと思います。
アドバイザー、大変でしょうが頑張ってください。
Commented by yoda-1 at 2011-02-23 12:53
当日は大変御世話になりました。
これは、二日目の概要バッチリです。
図鑑分科会では、矢後さんもfanseabさんも、どっしりと構えて、YODA他メンバーの言いたい放題を聞かれていたのが、印象的でした。
これまでのいろいろな苦労や悔しさのようなものが凝縮されていくのですね。
この1月の初投稿でほぼ惨敗のYODAは、もう応募しないと思ってしまうこともありますが、分科会で要望等発言した分、責任のようなものを感じて、微力ながら寄与できたらと思っています。
(さすがに、すでに「ヒョウモンモドキ」は撮影済みなのですね。)
Commented by clossiana at 2011-02-23 17:11
シンポジウムお疲れさまでした.私は出席出来ませんでしたが、せめて一日だけでも出席したかったです。この調査方法は比較的簡単そうですが、でも飛翔中の蝶を瞬時に同定するには、かなりの熟練度も必要ですね。その意味でも図鑑の早急な完成が望まれるのでしょうが私は写真の方も苦手ですのでお役に立てそうもありません。何か私でも出来る別な方法で貢献させて頂きます。
Commented by himeoo27 at 2011-02-23 21:01
当日は会場および帰りの電車ではお世話になりました。
素晴らしい写真を撮るための苦労が良く分かりました。
私も超微力ながら今シーズン10月までチャレンジすることといたします。
Commented by fanseab at 2011-02-23 23:21 x
ダンダラさん、前日のスライドショーを拝見できず、残念でした。図鑑はもうまったなしですね。さしあたり、ギンイチ夏型をお願いすることになりそうですよ。まぁ、アドバイザーと言うか、皆さんの絵を拝見しながら、♂♀区別点を勉強するスタンスで楽しみたいと思っております。
Commented by fanseab at 2011-02-23 23:24 x
yoda-1さん、こちらこそ、お世話になりました。撮影がてら来られたようで、相変わらずのパワフルな行動力に感服いたします。あのような議論では、お互い言いたいことを言わないといけないですし、皆さんの本音をぶつけ合わないと、蟠りが残って、禍根を残します。その意味で意義ある議論ができたのではないでしょうか?貴殿も素晴らしい画像ストックがあるので、これからもがんばってください。期待しております。
Commented by fanseab at 2011-02-23 23:31 x
clossianaさん、シルビア幼虫探索お疲れ様でした。モニタリングですけど、ある程度の初心者の場合、当然、同定間違いもありますし、ベテランの方でもミスは発生します。しかし、そのような誤同定の確率を仮定し、補正した算式なり手法で生息密度を推定できるモデルが確立しているようなので、調査員の技量が一定レベルになくても、調査が上手くいくようです。むしろ、コンスタントに2週間に1回のペースで調査を継続することが難点だと思います。貴殿のように熱意ある方が参加されれば、鬼に金棒だと思います。
Commented by fanseab at 2011-02-23 23:33 x
himeooさん、当日は土曜日からの参加、お疲れ様でした。貴殿から見せて頂いたアサギマダラ幼虫を小生も探索してみたくなりました。ツマグロヒョウモン♀の件に懲りずに頑張ってみてください。
Commented by thecla at 2011-02-27 22:13 x
保全の集いお疲れ様でした。
図鑑、大変です。協力お願いいたします(^^;
Commented by fanseab at 2011-02-28 00:06 x
theclaさん、当日はお疲れ様でした。
まぁ、ここまで来たのですがから、肝っ玉据えて取り組まねばなりませんね。それでも、貴殿もしっかり仕切っておられたので、方向性が見えてきたように思います。できる限り、お手伝いしたいと思っております。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード