探蝶逍遥記

香港遠征日記(11)5月1日後半その3

 今回の香港遠征の目的は以前にも書きましたが、①キシタ(Troides aeacus aeacus)もしくはヘレナキシタアゲハ(T. helena spilotia)を確実にものにすること。②普通種を丁寧に撮り直すこと、の2点にありました。最初のターゲットである、ヘレナキシタアゲハは前回遠征でも出会っていますが、この時は、遠目の飛翔シーンを撮るのがやっとの状況で、当時リベンジを誓ったのでした。さて、そのヘレナは午後、鳳園に着いて暫くして悠々と登場。パタパタパタと小刻みに羽ばたきながら滑空する独特な飛翔モードで林縁を飛び続けます。そのうち管理人の上空にやって来ると、敢えて冷静を装っていた管理人の体にアドレナリンが湧いてきました。                                                ++画像はクリックで拡大されます++
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D90-34(トリミング)、ISO=500、F10-1/2500、-1.0EV、撮影時刻:15時25分

 上の個体は後翅外縁側第3,4室にも黒点が出現する珍しいフォームで、一見、♀のようにも思えますが、♂だと思います。今回は、85mmで狙うには距離があるので、ひたすら300mmを担ぎ、マニュアルフォーカスで撮り続けました。しかし、ヘレナはこちらの意図を見透かしたかのように、突然、目の前に突っ込んできて、フレームアウトしたり、本当にヘレナに翻弄されてしまいました。結局300コマ近く写して、見られるコマはせいぜい10コマ程度。普段の広角飛翔なら700-800ショットは打つのですが、重たい300mm単焦点ですので、300コマが限界でした。お次はヘレナがベニモンアゲハに追いかけられる面白いシーン。
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D90-34(トリミング)、ISO=500、F4-1/2500、撮影時刻:15時46分

 彼らはウマノスズクサをホストにするライバル関係にあるのですが、遥かに体躯の小さなベニモンに追跡されるのは、何というか、体格の割に気が小さいのかな~と、見てて微笑ましくなりました。続いてヘレナの特徴である、後翅第二室の黒点が明瞭に判別できる空抜け画像。
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D90-34(トリミング)、ISO=500、F11-1/2500、外部ストロボ、撮影時刻:15時50分

 キシタの翅はみかけほど厚くなく、前翅の翅脈に沿う明るい部分も透明感があり、後翅の黄金色部から前翅が透けて見える位です。運動量の割にこれだけ翅が薄いので、キシタ類の翅は結構痛みやすいようです。彼らは林縁の探雌飛翔と静止を繰り返します。国内のPapilio属♂ですと、皆さんご存知の通り、a)吸蜜、b)探雌飛翔、c)静止、d) 探雌飛翔、e)吸蜜のように、一定のパターンで蝶道を形成して周回飛行をします。アザミのような吸蜜源で待機していれば、15分~30分置きに周期的に飛来する♂個体を撮影できるのですが、どうやら、キシタ類はこれらPapilio属での飛翔パターンとは相当異なるモードで周回飛行をしていることに気が付きました。午後の時間帯の特徴なのかもしれませんが、全く吸蜜する気配がありません。折角お花畑のど真ん中に陣取って、「さぁ、ヘレナ、降りて来い!」と心の中で叫んでも、彼らは上空を素通りするだけです。さらに周回する蝶道も相当に長距離で、姿が見えなくなるほど遠くまで飛んだ後、また舞い戻って来ます。ようやく静止したと思ったら、今度は85mmでは狙えないほど高い梢の上で休息です(泣)。
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D90-34(トリミング)、ISO=500、F9-1/500、外部ストロボ、撮影時刻:15時53分

 誠にカメラマン泣かせのアゲハですね。再び飛び立ったヘレナを追いかけ回します。
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D90-34(トリミング)、ISO=500、F8-1/2500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時55分

 空抜けではなく、林縁の丸ボケも背景に配されて、今回遠征のヘレナ飛翔画像としては、結構お気に入りの絵になりました。もう一枚は画面の端にようやく写った画像。
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D90-34(トリミング)、ISO=500、F13-1/2500、-2.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時55分

 キシタは上下に大きく羽ばたくことが少ないので、この絵のような躍動的な画像はなかなか撮るチャンスがありません。こうして、ヘレナキシタの飛翔を撮りながら、ヘレナが飛び去った後、ベニモンや、マダラチョウの吸蜜を狙う時間帯が過ぎていったのです。<続く>
by fanseab | 2011-02-05 21:47 | | Comments(6)
Commented by himeoo27 at 2011-02-06 13:08
アゲハの仲間も「処変われば」で色々な性格な子がいるのですね!ヒメオオには敷居は高そうなのでもう少し国内で精進することといたします。
Commented by fanseab at 2011-02-06 21:24 x
himeooさん、海外の蝶は日本の常識で上手く行動が読める場合と、読めないケースに分かれますね。キシタについては、どうもまだ掴みきれていないので苦労しております。
Commented by thecla at 2011-02-06 22:42 x
キシタの飛翔は、雄大で素晴らしいですね。私なら300mmで300枚撮る前に気力が萎えてしまいそうです。
↓香港の方はマクロ接写中心ですか、こっちだと広角や飛翔狙いも多くなりますが、基本はマクロ接写、もっと丁寧に撮らないといけないかもしれないですね。
Commented by fanseab at 2011-02-07 07:11 x
theclaさん、キシタ類は日本のアゲハでは有得ない位、高所を飛び回ります。羽ばたきが小刻みなので、あまりスピード感が沸きませんが、頭上に来ると結構な速度を実感します。300mmでの飛翔は本当に首と肩が凝りましたよ!
Commented by naoggio at 2011-02-07 15:52 x
キシタの飛翔、バリで数回見ましたが、とてもじゃないですがカメラに収めようというような次元じゃなかったです。フィルムカメラでしたし・・・
よく撮影されましたねえ。
でも一度だけお寺の裏の森の中で、低所を悠然と飛ぶところに出合いました。すごく暑い日(まあだいたい暑いですけど)の11時頃だったと思います。
Commented by fanseab at 2011-02-08 00:15 x
naoggioさん、バリ島でのキシタですかぁ!青空に映えて綺麗でしょうね。あそこはキシタではなく、ヘレナが棲んでますね。亜種maurusはちょっと香港産亜種とは異なり、後翅第6室に黒点が入るタイプで、雰囲気が違うはずです。昼時に飛ばれると、暑さで追いかける気力が無くて、ボーッと眺めるだけのことが多いですね。でも、それも熱帯アジアでの楽しみの一つです。
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