探蝶逍遥記

香港遠征日記(9)5月1日後半その1

 嘉道理農場から同乗させて頂いたメンバーの方は確かAさんで、前回遠征でもお世話になった方でした。東に向かって海岸線沿いに走り、到着したのはSポイント。ここは最初の香港遠征で、当時の香港鱗翅学会会長さんにご案内頂いた思い出多いポイント。大いに期待したのですが、実は蝶影が大変少なく期待外れでした。海岸沿いからポイントへ向かう道路の両側は、確か疎林混じりの草原だったはずですが、一戸建ての家並みが多数乱立し、風景が一変していました。こうした開発の波は香港でも当然ある訳で、好ポイントが徐々に消滅しているのでしょうね。

 さて、乏しい蝶影の中、前回アカネシロチョウ(Delias hyparete hierte)が多数舞っていた渓流脇ではタイワンキマダラ(Cupha erymanthis erymanthis)が寂しくテリ張りをしておりました。このタテハもきちんと撮りたかったのに、あまりにも距離が遠すぎて、雰囲気描写のみになりました。                                  ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D90-34、ISO=200、F9-1/250、-2.0EV、撮影時刻:13時40分 

 木陰では、ヒメウラボシシジミ(Neophitecops zalmora)が舞ってましたが、殆どスレ品でパス。A・Lさんが突然「Rapala!」と叫びます。高さ4m程の低木を指さしますが、探しているうちに飛ばれてジ・エンド(^^; 川の畔をウロチョロしているとセンダングサにシジミが・・・。接近すると、ほぼ完品のロヒタキマダラルリツバメ(Cigaritis lohita formosana)♂。
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D5K-85VR、ISO=200、F9-1/800、-0.7EV、撮影時刻:13時22分

 翅をスリスリしている場面で、後翅表の鮮やかな瑠璃色が拝めます。ロヒタの裏面を横切る帯状紋は、国産キマルリ(C.takanosis)が黒色なのに対し、小豆色をしているので、瑠璃色が余計引き立つ感じがします。お次は、尾状突起先端の白点を4本完璧に撮影するミッションを達成!
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D5K-85VR、ISO=200、F9-1/1250、-0.7EV、撮影時刻:13時24分

2日目に出会ったロヒタより鮮度が良かったので、何とか尾状突起の「4白」を写しこむことができました。マクロの最後は縦位置逆光。敢えてストロボを照射せず、このキマルリの艶やかさを演出してみました。
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D5K-85VR、ISO=200、F5.6-1/1250、-1.0EV、撮影時刻:13時31分

 ご覧のように、この個体、左後翅の肛角部に欠損があります。外敵に襲われて欠けた可能性も多いにあります。東南アジアに棲む有尾のシジミ類は肛角部のデザインが相当派手なものが多いです。これは当該部分を敢えて派手に露出し、鳥や昆虫に攻撃された時、標的を頭部ではなく、肛角部に逸らして生き延びる戦略かもしれません。そこで、野鳥が狙うアングルを想定し、腹端側から尾状突起を覗く構図で撮影。
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D5K-85VR(トリミング)、ISO=200、F10-200、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:13時25分 

 キマルリの腹部には円弧状の黒線が刻まれていますが、腹端から覗くと、同心円状の輪が重なった不思議な雰囲気を醸し出します。それと、橙色に彩られた肛角部も花びらのようなデザインで、いかにも鳥の気を引くような気がしますね!おしまいは縦広角で。
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GX100@5.1mm、ISO=80、F7.2-1/400、-0.7EV、撮影時刻:13時29分 
 
 これは新年の賀状でご紹介した絵です。相当長時間吸蜜してくれたので、広角での構図を色々とトライする余裕がありました。この個体に感謝です。結局、Sポイントではロヒタ以外に目ぼしい成果はなく、一行は次なる目的地へ向かいました。別ポイントに行くA・Lさん達とは鳳園で別れ、再び管理人は鳳園で粘ってみることにしました。お花畑のランタナの梢に俊敏なミスジが登場。初撮影のタイワンホシミスジ(Parathyma sulpitia sulpitia)でした。
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D90-34、ISO=500、F9-1/1600、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時29分
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D90-34、ISO=500、F9-1/800、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時31分 

 やはりテリ張りをするタテハは格好良いですね。香港に広域分布するこのミスジの食草はスイカズラ(Lonicela japonica)類で、図鑑に示された幼虫画像もLimenitis属そっくりです。<続く>
by fanseab | 2011-01-26 22:28 | | Comments(4)
Commented by himeoo27 at 2011-01-27 21:16
少しだけ見える「ロヒタ」の表翅のコバルトブルーとっても好い色合いですね!裏翅の模様との対比が何とも言えず綺麗です。
Commented by fanseab at 2011-01-27 23:07 x
himeooさん、こんばんは!新鮮なロヒタは凄く艶かで、写欲をそそります。♂は相当に活発ですから、翅の痛みが早くて、綺麗な個体を見つけるのに苦労しますね。
Commented by yoda-1 at 2011-01-29 18:33
ロヒタの画像集が素晴らしいです。
特にやはり後ろ姿の立体性でしょうか。
前翅を伸ばして、後翅に隠れている部分が別の色なのもすごく興味深いです。
このような撮影の機会に恵まれたら、香港までの旅費も高くないと思ってしまいます。
Commented by fanseab at 2011-01-30 12:06 x
yoda-1さん、コメント有難うございます。
キマルリはどこか必ず欠損があるので、絵の完成度を求めようとすると意外に難しいと思います。その欠損の理由を解き明かす絵をご紹介してみました。前翅を伸ばした時の帯状紋の黒色、そうなんです。標本画像ではなかなか気が付かないポイントですね。
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