探蝶逍遥記

香港遠征日記(3)4月30日後半その1

 朝方の今にも雨が降りそうな天候も、徐々に回復して11時過ぎにはピーカンの天気になりました。鳳園で10時20分頃まで撮影した後、公園の入口で待ち合わせをしていた香港蝶類学会の重鎮、J・Yさんと落ち合いました。J・Yさんは、英文図鑑「The Butterflies of Hong Kong」掲載のほぼ全ての画像を撮影されている方です。香港に生息する蝶の生活史を網羅的に明らかにされている権威で、いつかお会いしたいと思っておりました。とてもフランクな方でしたので、初対面で、すぐに打ち解けることができました。鳳園からはJ・Yさんの愛車、スバルに同乗して、同氏お勧めの蝶観察コースを案内して頂きました。ここはバスも通じていないポイントなので、貴重な体験をすることができました。

 歩き始めてすぐに、ブルー系のシジミが路上の吸水に訪れていました。久しぶりに出会うヤクシマルリシジミ(Acytolepis puspa gisca)の♂でした。                                                ++画像はクリックで拡大されます++                          
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D5K-85VR、ISO=200、F9-1/1000、-0.7EV、撮影時刻:10時40分

 相当に敏感で、路上の吸水場面は撮影できず、葉上でストローを延ばしている場面です。
丈の低い草原に出ると、Ypthima属が沢山飛んでいます。コウラナミジャノメ(Y.baldus)と思って撮影しましたが、後翅眼状紋の並びから判断して、どうやらリサンドラウラナミジャノメ(Y. lisandra lisandra)のようです。
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D5K-85VR、ISO=200、F9-1/320、-0.3EV、撮影時刻:10時53分

 リサンドラは初撮影で嬉しい限り。香港ではコウラナミよりも分布が局地的とされています。時折、梢で白くヒラヒラ不規則に飛ぶのがイシカゲチョウ(Cyrestis thyodamas chinensis)です。そのうち地上に降りて吸水。
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D90-34、ISO=400、F11-1/1250、-1.7EV、撮影時刻:10時56分

 普段、吸水時に展翅標本のように全開翅するタテハなので、このように裏面を撮影できる機会は少なくラッキーでした。それにしても、よく見ると、このタテハの複眼って、上下半分で色分けされた不思議な雰囲気がありますね。特に上半分の偽瞳孔が上向きなので、そんな感じがするのかもしれません。暫く歩くと、徐々に尾根筋の登りが続き、寝不足の管理人に厳しい状況になりました。先を行くJ・Yさんの姿を追って必死に歩きます。喘ぎ喘ぎ坂を上る途中、梢の先に小さなシジミの影を見つけました。どうやらテリを張っているような挙動です。眩しい陽光を手のひらで遮りながら観察すると、キネンシスカニアシジミ(Miletis chinensis chinensis)♂でした。
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D90-34、ISO=400、F11-1/2000、-2.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時14分

 このシジミは前回遠征で、馬鞍山麓の薄暗いススキで観察した のですけど、その環境とは全く異なる明るい林縁での活動に驚きました。こうして眺めると、脚の途中から先が毒々しい橙色を呈していて、存在感のあるシジミだと思います。脚立があれば、もう少し横から撮影できたのですが、これが精一杯でした。少し開けた尾根筋には中型のミスジが飛んでいました。飛翔を撮るかマクロを撮るか迷っているうち、梢の高い場所に止まったので、300mmで撮影。
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D90-34、ISO=200、F11-1/1000、-2.0EV、撮影時刻:11時25分

 中室の棍棒状白班の形状からミナミオオミスジ(Phaedyma columella columella)と同定。このミスジはシンガポールで撮り逃がしていただけに、何とかリベンジができました。しかし、アングルも中途半端だし、ちょっとボロですね。これは再リベンジすることにしましょう。この後、湿地帯の横を通り抜ける時、ヒカゲの姿がちらっと見えました。追跡すると、ヒメシロオビヒカゲ(Lethe confusa confusa)でした。
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D90-34、ISO=200、F11-1/1000、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時31分

 もうちょい、きちんと寄って撮りたかったところですが、沼地でこれ以上アングルがどうにもなりませんでした。この後も結構色々な蝶に出会いましたので、次回ご紹介しましょう。<続く>
by fanseab | 2010-12-26 09:43 | | Comments(4)
Commented by yoda-1 at 2010-12-26 11:52
最初と最後以外の蝶は、YODA訪問時に見れなかった蝶ですが、香港の重鎮とご一緒できるあたり、さすがであります。
ネットでも英文図鑑「The Butterflies of Hong Kong」を探してみましたが、見あたりません。表紙画像とか掲載していただけるとうれしいです。
Commented by fanseab at 2010-12-26 19:39 x
yoda-1さん、前回の訪問時に学会会長と親しくさせて頂いた関係の人脈でお世話になりました。やはり期間が短い滞在だと、現地の蝶屋さんと上手く連携しないと、成果が上がりません。
例の図鑑はAcademic press版で、Amazonやジュンク堂で調べると検索で引っ掛かりますが、どうやら絶版(在庫切れ)のようで、中古本で探すことになると思います。重くてでかく、持ち歩く図鑑ではないですが、内容の充実した名著だと思います。
Commented by 虫林 at 2010-12-28 18:23 x
香港遠征日記は楽しいですね。
さすがに何度も訪れて、ポイントなどもしっかりとわかっているので素晴らしい写真を撮影されています。また、楽しそうな雰囲気が伝わってきていいな~。
香港は良いところですね。
Commented by fanseab at 2010-12-29 15:33 x
虫林さん、香港は狭いエリアなのに豊富な蝶相に驚かされます。それに食事も美味しいのでリピーターになりました。それと現地の蝶相に詳しい方とポイントを訪れることができるので、楽しみが倍加されます。東南アジアの国立公園あたりのガイドでも蝶に詳しい人は少ないので助かりますね。
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