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探蝶逍遥記

ウラギンシジミ(10月11日)

 関東地方では、体育の日を含む3連休の前半は天気が悪く、最終日の11日になって、ようやく絶好の晴天が広がりました。この日は来シーズンに備えて静岡県をウロチョロ探索しておりました。いくつか見かけた普通種の中で圧倒的に目立ったのがウラギンシジミ(Curetis acuta paracuta)でした。しかも全て♂ばかり、延べ20頭は観察したと思います。前日までが比較的低温で雨続きだったこともあり、湿った路面からしきりに吸水する姿が目立ちました。                                                             ++画像はクリックで拡大されます++
ウラギンシジミ(10月11日)_f0090680_22351254.jpg
D90-85VR、ISO=200、F9-1/800、-1.0EV、撮影時刻:8時46分

 吸水しながらじわりと開くと、鮮やかな橙色が顔を覗かせます。これから冬場にかけて日溜りで日光浴する姿を見かけるのは殆ど♀ですので、この時期、比較的新鮮な♂の姿は貴重ですね。逆光でも撮ってみました。
ウラギンシジミ(10月11日)_f0090680_223455100.jpg
D90-85VR、ISO=200、F9-1/800、-1.0EV、撮影時刻:8時50分

 銀白色の裏面に表翅の橙色が透けて見えています。このように逆光でウラギンを裏面から狙うのは国内よりもむしろ東南アジア遠征で良くあるケースです。というのもCuretis属はなかなか開翅してくれない印象がありまして、裏面模様もさることながら、表翅の状況が不明ですと、同定もままならない場合が多いからです。北タイ・ドイステップの山中で撮影した個体を示しましょう。
ウラギンシジミ(10月11日)_f0090680_22354124.jpg
D70、ISO=500、F11-1/800、+0.3EV、撮影年月日・時刻:2006年3月25日、12時07分

 腐敗させたカニトラップにやってきた吸汁シーンで、表翅斑紋より、ウラギン(C.acuta dentata)と同定したのですが、ブリスウラギンシジミ(C.bulis)の可能性もあります。完璧に開けば、両者の区別はできると思いますが、裏面からだと結構厳しいものがあります。

 さて、静岡で撮影した♂は吸水しながら、路面スレスレを跳ねるような独特な飛翔をしておりました。ここではカシオのパスト連射で撮影。
ウラギンシジミ(10月11日)_f0090680_22355947.jpg
FC150@6.4mm、ISO=400、F3.6-1/4000、-0.7EV、撮影時刻:8時57分04秒
ウラギンシジミ(10月11日)_f0090680_22361318.jpg
FC150@6.4mm、ISO=400、F3.6-1/4000、-0.7EV、撮影時刻:8時57分05秒

 パスト連射の利点は飛翔時の蝶の羽ばたきモードが良くわかる点。ウラギンの場合は一旦翅を打ち下ろすと、閉じた状態で結構長く前進することがわかります。秒速40コマ、最大30コマでも、翅が打ち下ろした状態のコマ数はせいぜい3コマ程度。通常のデジ一で撮影した場合は、確率的に翅が閉じた銀白色の裏面のみ写ってしまう可能性が強い訳です。確かヒメウラナミジャノメの飛翔モードもウラギン同様で、翅を閉じた状態で、相当長距離を前進できていた記憶があります。

 ただ、カシオの機種もやや暗い環境下でISO=800に上げると、画面のザラツキが酷くなります。「裏面照射型CMOSセンサーでノイズを劇的に下げました」との謳い文句ですけれど、もう一段ノイズレベルを改良してもらわないと常用したい気持ちにはなりませんね。ブログ仲間の多くの方が今シーズンパスト連射機を導入されていますが、途中からデジ一に原点回帰した方が多いようです。現状機種のノイズレベルやら使い勝手を考えると、当然のことかもしれません。
by fanseab | 2010-10-17 22:38 | | Comments(12)
Commented by ダンダラ at 2010-10-18 11:42 x
先日栃木で、車にひき潰されたと思われるザリガニの死体にウラギンシジミが来ていましたが、このチョウはカニトラップに来るのですね。
カシオのカメラはISO800で撮影していますけど、ノイズもですが背景の処理の仕方で写真の出来がまるっきり違ってしまうので、難しさを実感しています。
このウラギンの飛翔は背景まで距離があってうまく処理されていると思います。
Commented by himeoo27 at 2010-10-18 21:11
ウラギンの♂の表翅のオレンジ色とっても綺麗ですね!
飛翔は来年からチャレンジ予定ですが、ISOを上げるとノイズが出るとなると私には難しそうです。
Commented by fanseab at 2010-10-19 07:10 x
ダンダラさん、ウラギンは腐った果実類も好きですが、甲殻類や糞等の動画系に良く惹かれてきます。小生のパスト連射機はいつも使う撮影条件のメモリー機能が無いのと、絞りが2段階しかないのが辛いですね。ご指摘のようにコンデジなんで、背景がゴチャゴチャし過ぎる欠点もあります。
Commented by fanseab at 2010-10-19 07:19 x
himeooさん、新鮮なウラギン表翅のビロード状の光沢感は独特なものがありますね!飛翔はデジ一で狙うならISO=400で十分なケースが殆どですので、さほどノイズを気にされなくてもOKです。曇り空とか暗い背景だとISOをもうちょい上げる必要がありますけど…。
Commented by ダンダラ at 2010-10-19 09:57 x
カシオのFC150ですけど、かなりの部分が記憶させておくことが出来ます。
私の場合は、電源を入れれば必要な設定は完了していて、すぐに撮影することが出来ます。
メニュー画面の一番左のタブの項目の中にありますので、確認してみてください。
Commented by yoda-1 at 2010-10-19 12:58
ウラギン♂の接写綺麗ですね。
昨年秋に、香港にもいたのにはビックリしました。
パスト連写を多用してきたYODAですが、最近御指摘のようにやや中だるみです。カシオは、最初手の平に焦点を合わせてやるものの、実際に半押し常態が持続しているのが難しいのか、よくピンボケ画像も量産しております。
画像数が減ってもいいので、ピントが確認できるデジイチにパスト機能を付けてくれないものかとよく思います。
Commented by ma23 at 2010-10-19 19:17 x
秋を満喫されてますね~。身近な顔ぶれですが、飛翔写真はさすがです。自分のカメラもだいぶと調子悪くなってきて、連射にすぐれたカメラが欲しくなってきているこの頃です。
Commented by fanseab at 2010-10-19 22:12 x
ダンダラさん、コメント有難うございます。メニューを見落としていたようです。助かりました。ただ露出補正量だけはメモリできないようですが、これで使い勝手がかなり改善されると思います。
Commented by fanseab at 2010-10-19 22:14 x
yoda-1さん、ウラギンはじっくり見ると綺麗なシジミです。夏型の♂を綺麗に撮るチャンスがなくて苦労しております。ご指摘のように、デジ一にパスト連射機能をつけてもらうと助かりますね!
Commented by fanseab at 2010-10-19 22:17 x
ma23さん、夏場にシャカリキになって撮影するスタイルと異なり、この時期はノンビリと構えるスタイルもいいものですね。飛翔はカメラ任せなんですが、どうもカメラ任せ故に自由が効かないこともあり、やはりデジ一飛翔に回帰することがあります。最近のキャノンも素晴らしいボディ性能を持っているので、確かに食指が動きますよね。
Commented by grassmonblue at 2010-10-20 19:02 x
ごぶさたしています。
ウラギンもクマソも素敵な画像と興味深いコメント、楽しませていただきました。
でも、なんといっても、ヒガンバナとアゲハ。特に縦位置の「ザ・里山」とノートリの太陽バックのカットには度肝を抜かれました。
ただただ、感嘆しつつ鑑賞させてもらった次第です。
Commented by fanseab at 2010-10-21 07:33 x
grassmonblueさん、おはようございます。クマソは今年関東でのニャースに乏しくちょっぴり寂しいですね。彼岸花とアゲハの組合せは数年来暖めていたテーマで、理想的なポイントを見いだせたのが勝因だったと思います。アゲハの飛翔はまぐれ当たりですが、いい感じに仕上がりました。
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