探蝶逍遥記

下北半島巡り(8月13-14日) (2)ゴマシジミ

 信濃のゴマ探索では採集者とのバッティングに不快な思いも募ったので、本州最果ての地で、じっくり撮影をしたいと思っておりました。さて、下北での探蝶は食草であるナガボノシロワレモコウ(以下ワレモコウと略)を探索する旅でもありました。そもそもこの食草がどんなエリアに生えているのか?見当もつかないので、結構苦労したのです。最初に訪れたのは、水田と休耕田が混在する地域。休耕田と言っても、すでに丈の高いヨシ類が繁茂しておよそゴマが棲めないような環境から、草丈の低いエリアまで多様です。それこそウロチョロ、時々ズブッと靴が踏み込む湿地帯を歩き回ること1時間、ようやく食草を探し当てることができました。しかし、残念ながら、ゴマの姿はありません。恐らく蟻の巣がないんでしょうね。

 休耕田には深さ2m程度の水路が設けられていて、この水路の周辺にワレモコウが多いことに気が付きました。                                              ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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GX100@5.1mm、ISO=80、F9.1-1/500、-0.7EV、撮影月日・時刻:8月13日、13時32分

 穂先の伸びたワレモコウはまだ少なく、ワレモコウは水路の両脇、幅僅か1mの領域に分布していて、画面中央上に広がる草地には全く生えていません。暫くここを攻めていると、明るいブルーのシジミが飛んでいます。この日は台風が岩手県を横断して太平洋に抜けた直後で、相当強い風が田んぼを吹き抜けていく天候。強風に流されてシジミの追跡が困難ですが、ようやくゴマであることを確認。前週観察していた信濃のゴマに比較するとスカイブルーが広がっているので、かなり明るく感じます。苦労しながら、ようやく♀産卵シーンをゲット。
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D5K-85VR、ISO=400、F9-1/2500、-0.7EV、撮影月日・時刻:8月13日、13時59分

 ご覧の通り、結構汚損が激しい個体です。ここでは全部で10個体ほど確認しましたが、いずれも撮影意欲をそぐレベルのスレ個体なので、ほどほどに引き上げて、カバイロの確認を急ぐためさらに北上したのです。

 翌日は風も収まり、穏やかな晴天が広がりました。カバイロ探索の過程で、道路脇に美味しそうな草地を発見。虫林さんと草地に踏み込むと、ブッシュと草地の狭間でゴマが見つかりました。いそうな雰囲気を睨んで踏み込んだ場所に目的の種を発見した瞬間は蝶探索の醍醐味ですね。このポイントはいずれも新鮮な個体で楽しむことができました。最初はツルフジバカマから吸蜜する♂。
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D5K-85VR、ISO=200、F9-1/250、-0.7EV、撮影月日・時刻:8月14日、1時51分

 ちょっと葉被りで残念な絵になりました。ここもワレモコウは水路跡のような湿地で、結構丈の高いブッシュの脇に生えています。ただ株の数は少なく、草地からの遷移領域にあって、結構脆弱な環境と推察しました。その生息環境を縦広角で表現してみました。
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D40-24、ISO=200、F8-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/32、撮影月日・時刻:8月14日、11時01分

 いずれの個体も緩やかに飛ぶので飛翔を撮影。
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D40-24(トリミング)、ISO=400、F4.5-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/32、撮影月日・時刻:8月14日、10時37分

 ご覧の通り、表翅は相当ブルーが拡がっています。お次はそのブルーのチラリズム。
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D40-24(トリミング)、ISO=400、F3.2-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/32、撮影月日・時刻:8月14日、10時58分

 なお、画面右上に虫林さんの右足が入りました。低い草丈の上を低く飛翔していることがご理解頂けると思います。このポイントでは、♀が翅をスリスリさせていて青ゴマの開翅をかなり期待させましたが、結局ご開帳はお預けになりました。残念至極です。

 さて、カバイロ撮影後、虫林さんとお別れして、次のゴマポイント探索に車を東に走らせました。途中、昼食を取った河川脇の歩道をチェックすると擦れた♂数個体を発見。結構いろんなところにゴマがいるんですねぇ。そして15時前になってようやく目的地に到着。ここは基本的には草丈の低い湿地草原。極東ロシアに類似した光景がありそうです。ここを飛んでいる個体も極めて新鮮ですが、あまり活発ではなく、飛んでもすぐに休止してしまいます。そんな情景を広角で狙いました。
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D40-24、ISO=200、F8-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/32、撮影月日・時刻:8月14日、15時13分

 折しも雲が切れて日が差し始め、ギリギリお約束?の逆光ブルー縁毛幻光が狙える角度でしたので、無理やりトライ。
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D5K-85VR、ISO=400、F9-1/1600、-1.0EV、撮影月日・時刻:8月14日、15時02分

 何とか雰囲気は出せたかな?最後にこのポイントでの♀飛翔。
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D40-24(トリミング)、ISO=400、F4.5-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/32、撮影月日・時刻:8月14日、15時03分

 画面中央右下にはエゾミソハギで吸蜜している別の♀個体がぼんやりと写っています。ここはとても素晴らしい湿原環境で、誰からも邪魔されず、撮影に没頭できる幸せを味わうことができました。下北半島を走ってみると、一見似たような平原やら湿原が広大に拡がっています。どこでもゴマがいそうですけど、例のワレモコウがどこにでも生えている訳ではありません。それに、半島の数ポイントで発生状況が相当に異なることが実感できました。恐らく海流の影響とか、下北を取り巻く気候環境がゴマの発生にも深く関与しているのだと思います。わずか2日間でしたが、懐の深い下北の自然を満喫することができました。機会があれば、津軽半島と併せ、季節を選んで再訪したいものです。<おしまい>
by fanseab | 2010-08-17 09:34 | | Comments(8)
Commented by 虫林 at 2010-08-17 12:54 x
やはり尻屋方面の方が天気が良かったみたいです。
fanseabさんのゴマシジミのいそうな環境を見つける目はさすがでした。限られた時間で、新鮮なゴマの写真が撮影できてよかったですね。
お疲れ様でした。
Commented by yoda-1 at 2010-08-17 18:51
下北のゴマシジミは、ブルーが綺麗なのですね。
遠征しての撮影紀行、大変勉強になります。
Commented by fanseab at 2010-08-17 20:52 x
虫林さん、貴殿の予想通り、何とか天気は持ちました。薄曇りなんで、開翅を期待したのですけど、開きませんでした。ゴマのいそうな環境は各地を訪ね歩いているうちに何となくゴマの気持ちになれて、見当がつくようになりました。新鮮なゴマが撮影できてホッとしました。
Commented by fanseab at 2010-08-17 20:55 x
yoda-1さん、ゴマ表翅は各地でいろいろと変化するのが楽しみです。飛んでいる時の印象も黒ゴマと青ゴマでは全く異なります。大きさも同じポイントでも千差万別なのが面白いところです。
Commented by 蝶山人 at 2010-08-17 22:02 x
ご無沙汰しています。
その節はお世話になりました。
ニアミスで1週間前に
H村(同じ場所?)で開翅を多数撮影出来ました。
S診療所に勤務していた後輩が一緒だったので
ウニや海鮮を腹一杯ごちそうになりました。
H村はゴマも多いし天国です。
Commented by fanseab at 2010-08-18 22:01 x
蝶山人さん、こちらこそご無沙汰しております。
暑いですけど、お変わりありませんか?
そうですか?ひょっとして同じポイントかもしれませんね。こちらカバイロにも欲出したんで、ゴマの開翅をじっくり粘ることもできず、そちらの情報を聞くと、超羨ましいです。やはりゴマ一本に絞るべきだったかもです。海の幸を楽しむ余裕がなかったのも残念ですが、下北の自然は堪能することができました。
Commented by thecla at 2010-08-18 23:33 x
下北のゴマは少し明るいブルーが魅力的ですね。
少し日程に余裕を持たせて、海の幸と合わせてじっくり楽しんでみたいものです。
と言いながら私の場合、弾丸ツアーばかりですが(爆)
Commented by fanseab at 2010-08-18 23:45 x
theclaさん、ゴマの保全活動お疲れ様です。
確かに同じブルーと言っても、表のゴマ(黒班)の大きさも違うんで、飛んでる時の印象がかなり異なります。おまけに凄く矮小個体もいて、まるでルリシジミと間違えるような感じです。この半島はお酒の肴には事欠かないとこですね。ほんと、ゆっくりと楽しみたい地方です。
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