探蝶逍遥記

信濃のゴマシジミ探索(8月6-7日)

 毎年、お盆の時期は各地のゴマシジミを訪ねて彷徨っております。一昨年は富士山麓、昨年は広島県東部を攻めてみましたが、今年は少し早目に信州を訪問してみました。上高地を下山して現地には午後3時過ぎに到着。ワレモコウの生育状況を確認しながら、数ポイントを巡ります。美味しそうな斜面を覗いていると、足元からヨタヨタと黒い蝶が飛び立ちました。最初はクロシジミかと思いましたが、目的のゴマ♀でした。確実に羽化直で、飛び方もぎこちない個体でした。 そのうちこの個体を見失い、更に探索して先ほどの場所に戻ってみると、ワレモコウの穂先に異様な個体が乗っています。何とこれが交尾ペアで大興奮!                                              ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D90-85VR、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:8月6日、16時07分

 実は管理人、ゴマの交尾場面はこれが初体験。しかも♂♀共に羽化直でないかと思われる新鮮さです。恐らく♀は最初に目撃した個体に違いありません。同じ場面を300mmでも撮影。
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D90-34、ISO=400、F10-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:8月6日、16時40分

 バックを緑一色にする構図が狙い。ただそうすると、交尾ペア両個体の翅面にピンが来ません。でもペアはじっとせずに時々微妙に動きますので、暫く格闘してようやく目的の絵が得られました。撮影時に既に空の様子が怪しげでしたが、そのうちザーッとにわか雨が降ってきてこの日は打ち止めにしました。

 現地に泊まって翌日は5時起床でゴマ探索。朝露をまとった場面を夢見て探しますが、前日の湿気が残って早朝から相当蒸し暑いので、そんな個体はいませんでした。それでも、わずかに露が残った個体を逆光で撮影。
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D5K-85VR、ISO=400、F8-1/200、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影月日・時刻:8月7日、6時17分

 全般にここのゴマは黒いのが多く、表翅が黒い個体は裏面も黒い傾向にあって、この個体の裏面も相当に「地黒」です。日も高くなって、♀がようやく産卵を開始し始めました。昨年の東広島では、あまりチャンスがなかったので、今回はじっくりと撮影。先ずはマクロで。
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D5K-85VR、ISO=400、F8-1/800、-0.7EV、撮影月日・時刻:8月7日、10時18分
 
 この♀の裏面は平均的な濃さでしょうか?お次は対角魚眼で目一杯ゴマに寄っての撮影。
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D40-10.5-X1.4TC、ISO=200、F10-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/32、撮影月日・時刻:8月7日、10時35分

 農道脇のワレモコウで産卵する雰囲気が何とか出せたと思います。この♀個体、相当一生懸命産卵しておりまして、産卵に疲れると、吸蜜します。ゲンノショウコでの吸蜜シーンです。
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D5K-85VR、ISO=400、F9-1/500、-0.7EV、撮影月日・時刻:8月7日、10時27分

 ゲンノショウコの濃いピンクの花弁とゴマはなかなか絵になるシーンだと思いました。この時期、吸蜜源となる花弁はいろいろありますが、ハギの花を含めて赤系の花弁を好むような気がしました。おしまいは飛翔の3連発。今回は10.5mmにテレコンで攻めましたが、やはりゴマクラスの大きさだと、このレンズ系は難しく、24mmで撮ればとの反省が残りました。最初は夏空を強調した構図で♀。
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D40-10.5-X1.4TC(トリミング)、ISO=400、F8-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/32、撮影月日・時刻:8月7日、9時10分

 ご覧のように雲行きはこの日も怪しげで、かと言ってドン曇りではないので、開翅にはサッパリのお天気模様でした。お次は比較的ブルーの濃い♂。
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D40-10.5-X1.4TC(トリミング)、ISO=400、F2.8-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/32、撮影月日・時刻:8月7日、10時17分

 3枚目は産卵途中の♀。4-6枚目でご紹介した個体と同一です。
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D40-10.5-X1.4TC(トリミング)、ISO=200、F2.8-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/32、撮影月日・時刻:8月7日、10時35分

 表翅はほぼ漆黒ですね。今回訪れた場所は有名ポイントでもあり、採集者の数も半端ではありませんでした。場所によっては、ゴマの数よりネットの数が多いのでは・・・と思わせる悲しい現実もありました。ここでご紹介した個体のうち、4-8枚目の個体は管理人の撮影している背後にそれこそ背後霊のように採集者が待ち構えていて、我慢ができなくなったところで「採っていいですか?」を声をかけられてネットに収まってしまいました。これ、有名ポイントの宿命でもありますが、後味が悪い撮影行となりました。ここはまだ採集圧で絶滅する恐れは少ないと予想されますが、それでも過度な採集は控えたいものです。拙ブログ冒頭でキャンペーンを張っているような絶滅危惧ポイントにならないとは誰も保障できませんから。

 まぁ、それでもカメラマンの方も僅かではありますが、来ておられ、地元長野からお越しになっていたH氏とは撮影をご一緒しながら、この地のゴマ生態に関する詳しいお話を聞くことができました。上述した嫌な思いも、Hさんとの語らいで帳消しにできたと思います。Hさん、いろいろと有難うございました。
by fanseab | 2010-08-12 10:45 | | Comments(16)
Commented by banyan10 at 2010-08-12 11:19
いきなり交尾とはいいですね。
素晴らしい写真が並んで見応えあります。
有名ポイントで採集者が多いのは嫌ですね。撮影くらいじっくりさせてほしいものです。
Commented by grassmonblue at 2010-08-12 12:19 x
ゴマシジミの美しい、平和な光景を感じる写真です。
写真だけでは、この背後にネットマンがひしめいているとは想像もできませんが、聞くだにやになります。
Commented by chochoensis at 2010-08-12 18:30 x
fanseabさん、=ゴマシジミ=交尾写真・・・素晴らしいですね!未だに撮影できていません・・・凄いです・・・。産卵シーンもすばらしいです。
Commented by 長野のH at 2010-08-12 19:47 x
初めて投稿させていただきます。先日ご一緒させていただいた者です。小生も「朝露ビッシリのゴマ」を求めて、ここ何年も通っていますが、なかなか”これだ!”という場面に遭遇できていません。
朝日に光る朝露と、青く光る縁毛(これはfanseabさんの専売特許かな?)をなんとか撮影できることを夢見て、何度でもトライしたいと思います。色々お話させて戴いて有難うございました。
採集者の件、あの場所は本当に集中してしまいますね。仰る通り
過度な採集は厳に慎むべきです。そうしないと、撮影も侭ならない
立ち入り禁止地域になってしまうかも知れません。
Commented by fanseab at 2010-08-12 20:52 x
BANYANさん、交尾個体っていつも蝶とは思えず、何がいるんだろうって感じで発見されますね。夕立前の風が強くてペアが傾いた状態でいたので、すぐには交尾ペアとは思えませんでした。でもとてもラッキーでしたね。採集者も特段悪意のある方ではありませんが、貴殿のおっしゃる通り、ネットが気になってじっくり撮影できないのでストレスがたまります。
Commented by fanseab at 2010-08-12 20:54 x
grassmonblueさん、コメントありがとうございます。ゴマのいる草地は人為的に何とか保持されている状況で、本当に信濃の美しい情景だと思います。採集者が来そうにない、独自ポイントを見つけないと・・・との思いが強くなりました。
Commented by fanseab at 2010-08-12 20:56 x
chochoensisさん、ラッキーなことに交尾画像をゲットできました。丈の高いワレモコウの穂先にいるので、風で揺れて撮影には大変苦労しましたが、いい思い出になる絵が撮れて満足しております。
Commented by fanseab at 2010-08-12 20:59 x
長野のHさん、先日は大変お世話になりました。
朝露ヒッシリ画像は前日の夜の天気が快晴で、放射冷却が進むような天候でないと期待できないかもしれません。確かに朝露とブルー幻光縁毛の組み合わせは夢のような光景になるでしょうね!傑作を期待しております。今後ともよろしくお願いします。
Commented by yoda-1 at 2010-08-12 22:09
まだ見ていない身としては、ゴマシジミも採集圧で減少しているのではと危惧しております。
でも、この交尾シーンはその対称性といい素晴らしいです。
飛翔画像もたくさんだし、出逢ったときの力量が発揮されている感じです。
Commented by fanseab at 2010-08-13 06:15 x
ynda-1さん、いつもコメント有難うございます。ゴマのように食草の生息範囲が限定されて、かつ幼生期を過す蟻の巣がある条件も限定されるので、ゴマの分布は本当に局地的です。なので、採集圧もかかりやすい種となっています。交尾場面は足場が悪くて大変苦労して撮影しました。
Commented by himeoo27 at 2010-08-13 08:39
2番目の交尾と5番目の産卵シーン綺麗ですね!
この蝶を全く観察したこともないのでウットリ眺めました。
Commented by cactuss at 2010-08-13 10:33
山並みを後ろにいれたワレモコウでの交尾シーンは最高です。
ゴマシジミを確実に撮影できる場所はほとんどなくなって来ている昨今で、この生息地までいなくなってしまってほしくないですね。
昨年、当地で撮影中に30分ほど後ろで待っていた方は採集から撮影に転向されたとの事で、大変喜んでいます。
Commented by kmkurobe at 2010-08-13 16:39
ここは週末はあまり行きたくない場所ですね。
かなり広範囲に発生しているのですが、今年も地元の地権者の方と畦を走り回るのでトラブルになっているようでした。
数日後のネットオークションに今年も取れたて、オオゴマシジミ、ゴマシジミというのが出ていました。
Commented by fanseab at 2010-08-14 18:44 x
himeooさん、コメント有難うございます。交尾は滅多に無いチャンスなんで、色々と構図を工夫して撮影しました。ゴマの産卵は相当時間をかけて産んでいくので、じっくり撮影できました。
Commented by fanseab at 2010-08-14 18:52 x
cactussさん、ここのポイントが末長く存続することを祈ってます。広角ショットで背景に山を入れるか?ブログでは常に頭を悩ませる問題ですが、やはり情景描写の基本に忠実に写して見ました。ネットからカメラに転向される方の数が増えるといいですね。
Commented by fanseab at 2010-08-14 18:56 x
kmkurobeさん、おっしゃる通り、ここは平日が良さそうです。採集も個人で楽しむならいいけど、オークションは論外ですね。
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