探蝶逍遥記

房総半島のクロマダラソテツシジミ(10月11日)

 「3連休は天気も良さそうだし、シルビアでも撮影しに行こうかな?でも、中央高速の帰りの渋滞も嫌だし・・・」。で、山梨のポイントを避けて、新規ポイント開拓も兼ねて房総半島南部に繰り出しました。
 現地7時10分着。田畑の畦道をじっくりミヤコグサ探索です。しかし朝日が眩しく、相当に難儀します。関西在住時、東播磨の棚田を巡っていた経験から、絶対にミヤコグサが生えていそうな環境でも意外とみつけられません。帰りしな出会った親切な採り屋さんに、ミヤコグサの生息地を教示してもらいました。わざわざ、場所まで案内頂き、感謝です。この採り屋さんも今日はnullとのこと。結局、この日は成虫共に坊主。千葉のポイント探索はあえなく敗退でした。

 されば、保険の意味で課題にしているウラナミシジミ♂を狙っていたところ、ちょうど、草地に♂が舞い降りました。ちょっとボロだけど、先ずは一枚・・・と撮ろうとして、「なんか、ウラナミのブルーとは違う個体やな~」と思いながらシャッターを押したのがコレ。                  
++すべての画像はクリックで拡大されます++          
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D90、ISO200, F14-1/320、-1.0EV、撮影時刻:7時53分

 撮影直後、翅を閉じかけて唖然としました。なんと、クロマダラソテツシジミ(以下クマソ)の♂だったのです。クマソはシンガポールで撮影して以来、国内では初体験。既にご存知の通り、西日本での2007年~2008年にかけての発見フィーバーは記憶に新しいところで、今年はさらに東進して、ブログ仲間が最近紹介している東京を始め、静岡、神奈川、千葉の沿岸部に拡散が記録されています。房総半島南部も当然、いてもおかしくないのですが、撮影ポイントが結構内陸部だったので、想定外だったのです。しかし、周囲を見渡して納得がいきました。ソテツの栽培地だったのです。南向きの丘陵斜面にこのようなソテツ栽培地が相当広範囲に散在しています。これならクマソ達にとって理想的な環境なのでしょう。この後、足元からみかけない黒っぽいシジミがよろよろと飛び立ち、下草に止まりました。羽化直の♀でした。ここは、すぐに逆光縁毛幻光を狙いました。 
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D90、ISO200, F14-1/320、-1.7EV、撮影時刻:8時03分

 光の周り方の関係か、ブルー幻光がちょっと弱いですが、裏面斑紋と合わせて、なかなか綺麗な眺めです。しかし、冷静に考えるとこのシジミの逆光幻光を房総半島で撮影していることに違和感を覚えますね。縁毛幻光の後はまともなベタ閉翅を撮影。
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D90、ISO200, F4.5-1/3200、-0.7EV、撮影時刻:8時07分

 ブログ仲間のkenkenさんが記事内でよくコメントされているように、尾状突起を有するシジミチョウの撮影では、その突起をピンと伸ばされた状態で写すのが基本です。その意味で、クマソの♀は難物だと思いました。国産のシジミ類ではヒサマツも長いのでしょうが、クマソも長く、風で上手くたなびかない限り、どうしても折れ曲がった状態で撮れてしまいます。少し陽射しが強くなったところで、遠慮がちに開帳してくれました。 
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D90、ISO200, F14-1/320、-0.7EV、撮影時刻:8時10分

 ♂よりは♀の斑紋、特に後翅外縁部の白班の載り具合は変異がありそうで、楽しめそうです。日中、♂は当然探♀行動のため、ソテツの周囲を飛び回ります。ソテツの幹に止まって日光浴するシーンを横広角でパチリ。
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GX100@5.1mm、ISO80, F9.1-1/200、-1.0EV、撮影時刻:10時41分

 ご覧のようにソテツ農園は彼らにとって、当面(農薬を撒かれないまでは)安住の地となるでしょう。最後は定番の飛翔。最初は♂同士の卍飛行。
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D40-24(トリミング)、ISO=400, F3.5-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/32、撮影時刻:10時36分

 卍と書きましたが、実際は♂同士の誤求愛の様相ですね。しかし、秋口に夏場のゼフ卍飛翔シーン撮影の練習ができるとは想像もできませんでした(^^) お次はソテツの幹を舐めるように飛ぶ、単独飛翔。
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D40-24(トリミング)、ISO=400, F4.5-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/32、撮影時刻:10時36分
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D40-24(トリミング)、ISO=400, F5-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/32、撮影時刻:11時06分

 全般に♀は出初めで個体数は少なかったです。シルビア狙いで出かけた房総半島。しかし、クマソと格闘する思わぬ展開にビックリしました。このシジミ、いよいよ地元川崎市、それも内陸部に進出するのも時間の問題でしょう。
by fanseab | 2009-10-12 13:39 | | Comments(16)
Commented by 6422j-nozomu2 at 2009-10-12 14:54
クマソは関西よりも関東が熱いですね。相変わらず飛翔写真お上手です。裏山
Commented by ヘムレン at 2009-10-12 16:42 x
ウラナミシジミかと思ったら、クマソ・・・!これは驚きですね(^^)
大きさはひと回り小さいですが、表の模様・・似てますよね。
今後は、そんな目撃が増えてくるかもしれませんね。
飛翔・・お見事です。(^^)
Commented by banyan10 at 2009-10-12 16:43
関東のクマソは房総が発生源の可能性が高いようです。
偶然見つけるだけ発生しているのですね。
シルビアは前年に多かった場所を聞いて行って駄目だったことがあります。
Commented at 2009-10-12 18:11 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by fanseab at 2009-10-12 19:10 x
ノゾピーさん、関西で熱くなったクマソ、今年の秋は関東が熱くなりそうです。三浦半島とか房総半島の海沿いは結構ソテツが植わっていますので、そちらの和歌山~三重あたりと同じ環境が整っていて、クマソの天国になりそうです。飛翔は意外にすばしこくて苦労しています。
Commented by fanseab at 2009-10-12 19:12 x
ヘムレンさん、ウラナミ♂の表翅もそれなりに変異があるので、途中からクマソかどうか?混乱し始めました(^^;; また、地表近くを飛ばれると、一瞬ヤマトにも似ていてやっかいなシジミが登場したものです。
Commented by fanseab at 2009-10-12 19:15 x
BANYANさん、もともと鹿児島あたりのソテツ栽培地からソテツの株と一緒に房総の栽培地に運ばれたクマソが発生源・・・との推定もかなり確度が高いと思います。館山の海岸沿いは既に有名ですが、今回のように相当な内陸部で発生していることに驚きました。
シルビアは時期の選定も重要な気がしています。
Commented by fanseab at 2009-10-12 19:17 x
鍵コメさん、コメント有難うございます。リクエストの件、了解です。
別途私信入れますね。
Commented by furu at 2009-10-12 20:17 x
房総のシルビアはルーミスより難関ですね。1度しか見たことがありません。
あの辺りはソテツの栽培地が多いので心配してましたが、やはりクマソが侵入してましたか。館山あたりでは越冬してしまいそうで恐いですね。
Commented by fanseab at 2009-10-13 07:10 x
furuさんが難関とコメントされるのだったら、初回でシルビアを発見できなくても当然ですね。少し安心しました(^^)当地のクマソは11月までは観察できると思いますが、越冬できるかどうか?継続観察も必要ですね。
Commented by ダンダラ at 2009-10-14 11:47 x
房総はウラナミシジミが越冬するくらいだから、クマソも越冬してしまいそうですね。
ソテツが商品である以上、当然駆除の対象になるでしょうけど、個人の家にあるものはそうも行かないでしょうし、定着する可能性は大ですね。
人為的移動であるにせよ、愛好家が持ち込んだものでなければ撮影するにもちょっと気が楽です。
Commented by clossiana at 2009-10-14 13:08
これは快挙ですね。房総のクマソは噂があることは知っていましたが現実だったのですね。。びっくり仰天です。もう少ししたらルーミスの季節になりますので、そんな時でも探してみようかな。それから房総のシルビアですが私は一度も見た事はありませんがミヤコグサとクローバーを食べているようですよ。そうだ、一番大切な事を書き忘れるところでした。「やどりが」につきましては英文タイトル等、大変お世話になり、ありがとう御座居ました。大感謝です。集団写真と合わせてお礼申し上げます。
Commented by fanseab at 2009-10-14 21:15 x
ダンダラさん、クマソがソテツ栽培地間の移動によって拡散している…との実感が今回の観察で強まりました。館山あたりの園芸業者さんにとっては深刻な問題となっているので本格的な駆除活動が始まるものと思われます。ただご指摘のように一般家庭や農家の庭先の株は対象外になり、生き残る可能性が高いでしょうね。
Commented by fanseab at 2009-10-14 21:23 x
clossianaさん、ネット上で房総のクマソの話題が取り上げられていましたが、ブログでの成虫の生態画像公開は小生が初めてだったかもしれません。とにかく凄い繁殖力に驚きます。シルビアの食草、クローバーも食うのであれば可能性が拡がるので期待が持てます。報文の件は刷り上がりを楽しみに待っております。
Commented by chochoensis at 2009-10-16 17:24 x
fanseabさん、遅くなりました、すみません。房総の=クロソ=発見おめでとうございます・・・いやはやこうなると、一体どこまで広がるのでしょうか・・・楽しみと同時に怖い気もします・・・。
Commented by fanseab at 2009-10-18 21:11 x
chochoensisさん、本当は神奈川のクマソをご紹介したかったのですが、先に房総で出会ってしまいました。恐らく一時的な拡散速度はアカボシより速いでしょう。越冬の問題がクリアされれば、結構内陸部まで進出すると思います。既存の競合種との問題がないだけが救いですね。
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