探蝶逍遥記

山梨のオオミスジ探索(6月20-21日)

 6月20日は早朝3時45分起床で神奈川のゼフポイントへ。現地で2時間ばかり探索しましたが、ターゲットと思しき蝶影は全て梢の上に消えるいつもの敗戦パターン。このままでは癪に障るので、意を決して一路山梨へ。今シーズン、甲斐の国を訪れるのは初めて。目的は今シーズン、タテハチョウの中で唯一課題にしているオオミスジです。

 タテハフリークを自認する管理人ですが、とりわけNeptis属は大のお気に入り。東南アジア遠征でもNeptiniは必ず狙ってやまない対象です。特に大型種、例えばナショナミスジ(N.nashona)、サンカラミスジ(N.sankara)はいつか撮りたいターゲットになっています。しかし、サイズについては、わが国のオオミスジ(N.alwina)は世界でも最大級のNeptiniと言えましょう。

 さて、現地に着いたのは10時ちょっと前。甲府盆地特有の暑さが体力を消耗させます。食樹のウメを探索すると、スイーッと滑空するオオミスジに出会うことができました。しかし、気温が高く、♂らしき個体はすぐに視界から消えました。暫く探索すると、食樹の周辺をまとわりつくように飛ぶ♀を発見。いきなり産卵シーンが観察できました。 
              ++すべての画像はクリックで拡大されます++ 
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D90, ISO=400, F10-1/200、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:6月20日、10時12分

 コミスジ同様、産卵時の姿勢は開翅パターンです。休息時も開翅しているので、産卵挙動か否かの判断がつきにくくて困ります。ほぼ葉の中央部に産みつけられた卵は、緑青色でコミスジそっくり。しかし、母蝶の体躯の割りに随分小さなサイズだと思いました。魚露目での産卵状況です。画面中央が卵。
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GX100@15.3mm(トリミング), ISO=80, F8.9-1/80、外部ストロボ、調光補正1/32、撮影時刻:6月20日、11時09分 <拡大像>D90-SMZ@48mm(トリミング), ISO=800, F20-1/40、-2.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:6月21日、10時08分

 画面左下は翌日撮影した卵の拡大像。多角形で構成されたドーム状で、その多角形の頂点から突起が伸びる複雑な構造を有します。産卵の合間には木陰を好んで休息しておりました。
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D40-24, ISO=400, F11-1/200、-1.3EV、外部ストロボ、調光補正1/32、撮影時刻:6月20日、10時54分

 新鮮な♀個体ですが、ご覧のように野鳥に食いちぎられたのか?右後翅が大破状態。ベタ閉翅を狙って粘りましたが、どうも破れている側をカメラマンに向ける意地悪な♀でして、困りました(^^;;
 ピンボケでひどい出来ですが、食樹を周回する飛翔シーンも撮りました。
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D40-24(トリミング), ISO=400, F6.3-1/2500、-1.0EV、外部ストロボ、調光補正1/32、撮影時刻:6月20日、10時59分

 さて、この日は午後2時過ぎまで、特に♂撮影を目的に粘るも、♂は探雌行動で全く静止する気配も無く、暑さにバテて帰路についたのでした。

 翌21日は終日雨模様の天気予報。どうするか迷いましたが、WEBでチェックしたポイント近傍のライブカメラを見ると、雲高も比較的高いので現地へ。小雨交じりで傘を差しての探索。ゼフ用の叩棒で食樹を一本一本根気良く軽く叩くと飛び出してくれました。しかし、オオミスジ君、なかなか低い位置に止まりません。と言うか、彼らは本質的に樹冠、もしくは高い位置に止まるのが好きなようです。そして、何とか撮影できた♂裏面がこちら。
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D90-VR84@400mm, ISO=500, F11-1/200、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:6月21日、11時29分

 既に相当にスレた個体です。このポイントで今シーズンの♂適期は既に過ぎてしまったのかもしれません。続いて散々苦労して撮影した「斜め15度逆光開翅」の♀です。
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D90-VR84@280mm, ISO=640, F9-1/320、-1.0EV、撮影時刻:6月21日、12時45分

 意図してストロボを照射せず、シルエット感を強調してみました。「斜め45度」でなくても充分格好いい姿です。でかい♀は本当に風格があってエエです。なお、この画像、触角の左上に小さな引っかき傷のような線が写っています。実はこれ撮影時の雨足です。天から落ちる雨滴を蝶の背景に写し止めたのは管理人にとって初体験。思い出深い画像になりました。

 今度は順光で撮りたいな~って、期待するもブッシュの葉陰でアングルが構築できず、何とか枝の隙間から覗き見するようなピンポイントで撮ったベタ開翅がこちら。
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D90-VR84@400mm, ISO=1000, F11-1/320、-1.0EV、撮影時刻:6月21日、12時58分

 もう少し、上方から見下ろすアングルで撮りたくても、葉被りになるし、持参した脚立も無用の長物になる始末。そのうち、かなり雨量が強まってきたので、♀個体も我慢できずに翅を閉じました。このチャンスを逃さずベタ閉翅も撮りました。
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D90-VR84@310mm, ISO=500, F11-1/200、-1.0EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:6月21日、13時03分

 折から雨足も強まって、傘を差しての撮影も体力的に限界に近づきましたので撤収です。♂ベタ開翅は恐らく活動開始直後の吸水挙動時に撮りやすい感じもします。また、このポイントでは来週まで新鮮な♂が期待できるのか?疑問で、少し高標高地が狙い目かもしれません。
by fanseab | 2009-06-22 23:15 | | Comments(14)
Commented by banyan10 at 2009-06-23 11:32
オオミスジは大型で格好いいですね。
それでも2日かけて撮影するのはさすがのこだわりですね。
産卵シーンや卵はまだ撮れていないので羨ましいです。
飛翔の背景を見ると梅の畑なのでしょうか?
Commented by kenken at 2009-06-23 19:53 x
そう、この日って、妙に気温が高く、ゼフは樹上へ上がるばかりでしたでしょ。関西でもそうだったりして。
私もね、ゼフ狙いで出かけて、まったく違うものを撮って帰るハメになりました。(笑)
オオミスジって、よく見るわりには撮影機会が少ない蝶だったりします。私も先日撮れました~前翅端の白のアクセントがえぇねぇ~
Commented by kmkurobe at 2009-06-23 20:10
うーんなぜかこのチョウ。撮影チャンスを与えてくれます。
21日も何頭も地表近くを飛んでくれました。
午後から雨が上がったせいかもしれません。
ミスジチョウはまったく相性が悪いので、うまく撮影できません。
Commented by maeda at 2009-06-24 06:10 x
実はオオミスジはまともな絵が無くて、この夏に狙っているチョウの1つです。札幌まで分布を拡大してくれたので、どうにか近くなりました。
Commented by fanseab at 2009-06-24 07:12 x
BANYANさん、関東に戻ってから撮りたい蝶の代表格だったので、かなり拘っての撮影です。まだこの蝶の生態を把握しきっていないので苦労しています。ご指摘の通り、撮影地は梅林の脇です。
Commented by fanseab at 2009-06-24 07:21 x
kenkenさん、昨年あたりから梅雨時の早朝の気温が高過ぎて、ゼフ撮影成功の予感が全くないので困ります。やはり15℃を切ってくれないと話になりません。この日も18℃はあったでしょう。オオミスジの発生時期はゼフ類他のめぼしい蝶と被るので、意外と撮影機会が少ないのかもしれません。
Commented by fanseab at 2009-06-24 07:26 x
kmkurobeさん、安曇野でも舞い初めましたか?そう、相性と言う点で小生もミスジチョウはみかける割に撮影機会に恵まれていませんね。
Commented by fanseab at 2009-06-24 07:32 x
maedaさん、Neptis属はいずれも敏感で接近戦に苦労しますね。貴殿お得意の対角魚眼での撮影も難易度高そうですが、傑作を期待しております。
Commented by chochoensis at 2009-06-25 09:03 x
fanseabさん、=オオミスジ=いまだにキチンと撮影できていない種類のタテハチョウです・・・産卵シーン、驚きました。卵の拡大写真も素晴らしいですね。さすがです!
Commented by fanseab at 2009-06-26 07:09 x
chochoensisさん、コメント有難うございます。小生もオオミスジは90mmマクロできちんと撮影したいと思っています。今シーズン未だチャンスがあるので、もう少し拘るつもりです。産卵シーンも腹端が葉の縁で隠されているので、これも撮直ししたいです。
Commented by ダンダラ at 2009-06-26 16:15 x
オオミスジはそれほど珍しい蝶というわけではないですが、きちんとした写真は撮りにくい蝶ですね。
飛翔写真は生息地の雰囲気も出ていていい写真だと思います。
Commented by fanseab at 2009-06-26 19:31 x
ダンダラさん、いつもコメント有難うございます。オオミスジは銀塩時代もまともな画像が無く、苦労した記憶があります。今回の「課題」で設定されている制約条件は、このミスジの撮影でも難易度を上げています。♀は意外と遅くまで観察出来そうですが、問題は新鮮な♂撮影ですね。特にベタ閉翅が厳しそうです。
Commented by kmkurobe at 2009-06-29 20:05
なるほどこの卵、最近観察したアサマイチモンジの卵に似ていますね。オオミスジは完ピンと思っていてもどこかにキズがついていて。なかなか良い写真が撮影できませんね。ハードルの高い蝶ですね。
Commented by fanseab at 2009-06-30 00:12 x
kmkurobeさん、イチモンジチョウ亜科ですので、卵のデザインが類似するのは当然かもしれません。ミスジ系は縁毛がない分、スレ個体は翅にシットリ感がなく、ざらついた感じになりますね。確かに撮影の適期が難しい仲間です。
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