探蝶逍遥記

北ボルネオ・キナバル遠征記:(21) ジャノメチョウ科

 ポーリン温泉に到着して最初に訪れたのは、少し沢を遡った場所にある滝でした。キシタアゲハを撮り逃がして悔しい思いで辿り着いた滝で、流れ出る汗を拭って一息ついていると、暗い沢沿いをモンキアゲハがパタパタと飛んでいます。モンキにしては、ぎこちない飛び方をしているので、変だなと思って接近して撮ったのが、こちら。                                                                        ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D70, ISO=400, F3.2-1/500、内蔵ストロボ、撮影時刻:2008年5月2日、9時24分

 なんと、管理人初体験のムカシヒカゲ(Neorina lowii lowii)でした。フランスの第三紀層から本種によく似た蝶化石が出土していることから、「生きた化石」として命名された古い系統のヒカゲとされます。この後、ポーリン温泉の浴場のすぐ近くで、小休止していると、再度出現し、トラップ運搬用バックで熱心に吸汁をし始めました。
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D70, ISO=500, F10-1/80、内蔵ストロボ、撮影時刻:2008年5月2日、11時33分

 飛んでいる時は、モンキアゲハそっくりでも、こうしてアップで眺めればジャノメの仲間であることがはっきりします。それにしても独特な斑紋と大型の体躯で大変魅力的な種類だと思います。魚眼で少し引いたアングルで撮影ポイントを写しこんだのが、こちら。
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D40-10.5, ISO=400, F11-1/20、外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:2008年5月2日、11時40分

 温泉で汗を流した観光客が通りすぎる遊歩道の脇で、長時間吸汁しておりました。お次はオオイナズマを追跡していた林道で出会ったアナピタコジャノメ(Mycalesis anapita fucentia)。
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D70, ISO=500, F5-1/500、撮影時刻:2008年5月2日、10時25分

 アナピタに良く似た種としてパティアナコジャノメ(M. patiana)がいるのですが、ここはアナピタとしておきます。ダナムバレーではまともな絵がなかったので、ようやくマクロが撮れて、ホッとしました。本種は裏面も表も橙色で、大きさも国産のヒメウラナミジャノメ程度なので、飛翔中はアカシジミのように見えます。暗い林道にスポット的に当る陽射しの強い葉先がお好みで、撮影条件は結構厳しいものがありました。裏面がウラナミジャノメ(Ypthima属)に良く似たのが、ウラナミコジャノメ(M.janardana baluna)。
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D70, ISO=200, F5.6-1/250、撮影時刻:2008年5月2日、12時30分

 本種に出合うのは、スラウェシ以来です。さらに、オルセイスコジャノメ(M.orseis borneensis)。
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D70S-VR84@400mm, ISO=640, F7.1-1/400、-1.0EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:2008年5月3日、7時46分

 暗い林縁で、ISOを上げているため、かなりノイジーな画像になりました(^^;; 表翅が藍色の幻光を示す本種ですが、ストロボを焚いたので、後翅表の一部にその雰囲気が出ています。最後は大変個体数の多かったパンドクスウラナミジャノメ(Ypthima pandocus sertorius)。最初は縦広角で。
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GX100@5.1mm, ISO=80, F6.5-1/320、-0.7EV、撮影時刻:2008年4月29日、8時50分

 この絵を撮ったのは、公園本部入り口のバス停を降りてすぐ。ちょっとボロなのが残念です。画像ではイメージわきませんが、国産ヒメジャノメ♂程度の結構でかいウラナミジャノメです。
お次は、閉翅画像。
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D70, ISO=400, F5.6-1/400、-0.7EV、撮影時刻:2008年5月2日、11時55分

 林縁の草地に沢山飛んでいるのですが、いざ撮ろうとすると、葉被り等で、アングル取りに苦労させられました。♀の産卵シーン撮影には失敗したものの、卵画像をゲット。
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GX100@8.3mm, ISO=80, F11-1/25、-0.7EV、撮影時刻:2008年5月3日、10時39分

 しかし、完璧なピンボケ失敗作です(汗) ヒメウラナミジャノメ(Y.argus)と同じく、明らかに本来の食草と思われるイネ科ではなく、他科の草本類に産んでいます。卵の色はヒメウラナミによく似ていますね。<次回に続く>


<お知らせ>
 2ヶ月ぶりに本体HPを更新しました。今回は「南ベトナムの蝶」で、5科10種を新規追加しました。また、国内HP:蝶のいる風景 を相互リンクさせて頂きました。
by fanseab | 2009-03-07 21:11 | | Comments(12)
Commented by maeda at 2009-03-08 07:46 x
好きなジャノメが一杯ですね。
ムカシヒカゲは実物を見ることが出来ていません。
当時はあまりヒカゲに興味なかったので、注意もしていませんでした。
人が背景に写った絵、これ良い感じです。
Commented by fanseab at 2009-03-08 09:30 x
maedaさん、ヒカゲやジャノメ好きには溜まらないフィールドです。
しかし、ここに掲載していない中でも撮り逃がしした種類があって、
今でも歯軋りしています。日本だと、ジャノメの表は「褐色」と定番
がありますが、東南アジアでは藍色や橙色等、魅力的な個体が多いです。
Commented by cactuss at 2009-03-08 10:08
撮影場所はジャングルの中かと思っていましたが、人が歩いている場所のすぐ近くなんですね。
ムカシヒカゲは変わった模様だし、蛇の目がたくさんのものも見てみたいですね。
Commented by thecla at 2009-03-08 10:37 x
ムカシヒカゲは、本当に飛んでいるとモンキアゲハに見えてしまいそうですね。
魚眼は観光地の遊歩道脇の雰囲気が出ていていいですね。こんな絵を見ると行きさえすれば撮影できそうな錯覚に陥りそうです(^^;
Commented by fanseab at 2009-03-08 20:36 x
cactussさん、1枚目はジャングルに近い雰囲気です。薄暗い林縁を飛ぶ生態はモンキアゲハそっくりですね。ムカシヒカゲの仲間は大型で、殆どが擬態をするため、大変魅力的な種類が多いのです。眼状紋が多い代表種、シマジャノメには今回出会えませんでした。
Commented by fanseab at 2009-03-08 20:40 x
theclaさん、ムカシヒカゲがモンキアゲハに似ているのは、本当に擬態なのか?いろいろと議論されているようです。第一、モンキアゲハは毒蝶ではないのですから。大昔に白く目立つ斑紋を持つ毒蝶がいて、その毒蝶は絶滅したけれど、ムカシヒカゲは擬態したまま、生き残っている・・・としたら、ロマンがありますね。
魚眼は何とか観光地の雰囲気を出そうと遊歩道に人が歩くまで粘っての撮影です。
Commented by 虫林 at 2009-03-09 13:49 x
ムカシヒカゲの広角写真は、背景の人々とともに迫力満点ですばらしい秀作ですね。いつか小生もこういう写真を撮影してみたいですね。少し引いてもこれだけの迫力がでるというのはかなり大きなちょうなのですか。
そのほかタコジャノメをはじめ渋い美しさですね。
Commented by fanseab at 2009-03-09 22:13 x
虫林さん、ムカシヒカゲは本文にもコメントした通り、モンキアゲハと同体躯の大きさですので、やや離れたアングルでもそれなりの大きさに写ります。図体のでかいヒカゲやワモンチョウの仲間はとても迫力があります。コジャノメ類はいずれも渋いですが、いずれも味があると思います。
Commented by chochoensis at 2009-03-10 07:05 x
=ムカシヒカゲ=・・・変わっていますね・・・驚きました、飛んでいる姿もご覧になったのですね・・・とても羨ましいです。素晴らしい写真にうっとりしました。
Commented by fanseab at 2009-03-10 07:14 x
chochoensisさん、おはようございます。ムカシヒカゲ、図鑑では見ていましたが、撮影するまで本種とは気付きませんでした。生息環境までモンキアゲハとそっくりなので、完璧に騙されました。こんな騙され体験も楽しみの一つです。
Commented by nomusan at 2009-03-10 20:46 x
ムカシヒカゲ・・・びっくりです。こんなジャノメがおるのですね。
モンキアゲハと間違えるくらいんおで、かなり大きいのでしょうね。
これはええもん見させていただきましたぁ~。
私もこれなら騙されても良いです(笑)。
Commented by fanseab at 2009-03-11 00:14 x
nomusan、頭を下にした吸汁ポーズと言い、その斑紋、大きさ、すべてに型破りのジャノメです。国産のヒカゲを見慣れていると、その「型破り」に騙されて、とてもヒカゲチョウ等と想像もつかないのです。
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